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オープンセミナー実績 - 小売業における顧客の囲い込み戦略

小売業における顧客の囲い込み戦略

カテゴリ : 
マーケティング
執筆 : 
fujieda 2006-12-12 0:36
個人情報保護法が全面施行される中、小売業における顧客の囲い込み戦略も変わりつつあります。
小売業において良く耳にするCRM、FSP、ワントゥワン・マーケティング、パーミッション・マーケティングという言葉の意味を理解するとともに『個人情報保護法』時代の顧客の囲い込み戦略について考えてみます。


【CRM】
 Customer Relationship Management(顧客関係管理)
お客様と企業との関係を強化するための仕組みのことです。
顧客一人一人の購買行動や年齢、性別、趣味などの情報を収集し、その活用により、顧客一人一人に適したサービスや商品を効率よく提供します。それにより顧客の満足度を高めて、長期的・継続的な「信頼関係」を構築し、顧客一人あたりの収益を最大化するという、顧客への効率の良い営業活動を行うための経営手法とも言われています。
CRMが叫ばれた背景には消費者のライフスタイルの変化やニーズの多様化によって、企業の商品開発が難しくなっていること、また不況もあいまって新規顧客を獲得するのに大きなコストがかかることがあげられています。
一説によると新規顧客獲得のコストは既存顧客に販売するコストの5倍がかかると言われています。そこで、企業と顧客が一対一の関係を築き、既存の顧客の満足度を向上し、売上を伸ばす方がコストも低く、収益性も高くなるというCRMの考え方が脚光を浴びました。
以前から、このような考え方はありましたが、購買行動の収集などを手作業で行うことは不可能なことであり、近年のコンピュータの高速・低価格化やインターネットをはじめとしたIT技術の進歩によって実現したといえます。
具体的にCRMを実践するためには、顧客データベースを構築し、データベースに蓄積した商品の販売履歴、クレーム対応などの情報を一元管理して、顧客の満足度と利便性を高めることが必要とされています。つまりCRMは企業の一部門だけでは実現はできません。顧客と接するあらゆる部門、会社全体にわたる大掛かりな仕組みが必要となります。営業、販促、お客様窓口、業務処理など一元化されたデータベースを共有できることが重要となります。

【FSP】
 Frequent Shoppers Program(高頻度来店客優遇策)
顧客との長期的な関係を作り出すことを目的としたマーケティング手法の一つで、顧客のポイント蓄積の度合いに応じてサービス付加に差をつけ、顧客のロイヤリティーを高めることで顧客の囲い込みを行う手法です。
従来の販売促進はすべての顧客に同じサービスを提供してきました。
これを来店頻度、購買金額の高い優良顧客に、より多くの利益還元をし、割引や特別な商品の提供、懸賞などの特別なサービスを提供していくというものです。
FSPの考え方の前提として以下の3つが挙げられます。
(1) すべての顧客は平等ではない
(2) 売上の80% は20%の上位顧客で占められている
(3) 購買行動は特典に左右される
こういった前提から上位顧客を大切にし、その流出を阻止することに全力を傾けるべきであり、販促、特典予算などを上位顧客に対して優先的に投入するという考え方がFSPです。
FSPの実践ステップは
(1) 会員の獲得
(2) 会員・非会員に識別
(3) 優良顧客の識別化
(4) 顧客の利益性の最適化
の4段階によって実践されます。

【ワントゥワン・マーケティング】
One to One marketing
顧客一人一人の好みや価値観、顧客の属性、購買履歴、行動履歴、状況の違いを把握・認識し、それぞれのニーズに合わせて異なったアプローチを行おうというマーケティングの考え方です。消費者を1つの大衆として扱う、従来のマス・マーケティングと対比されます。
マス・マーケティングは、多数の顧客の好みに合わせることで、商品からの収益を最大化すること、また共通項から絞り込みを行い、顧客ターゲットを設定するのに対して、ワントゥワン・マーケティングでは一人の顧客から得るトータルの生涯利益を最大化することを目標とします。また、マス・マーケティングが新規顧客を獲得することを主な狙いとするのに対し、ワントゥワン・マーケティングは既存顧客との双方向で継続的な関係維持を重視したものです。
従来のマーケティングとワントゥワン・マーケティングの最大の違いは、データベース技術やWebといったITを活用する点があげられます。

【パーミッション・マーケティング】
Permission Marketing
パーミッションとは「許可」のことです。顧客の許可を得て行うマーケティングの考え方です。事前に許可・承認を受けた顧客や消費者に対してのみ、情報提供や勧誘、販売促進、顧客情報取得等をするため、レスポンス率が高く、顧客に迷惑がられないという特徴があります。企業と顧客の間に長期的かつ友好的な関係を築くのに有効な手法とされます。
セス・ゴーディン氏(ヤフーの元副社長)が提唱した考え方で、個々の顧客の嗜好やニーズなどに合わせて一人一人個別に展開される「ワントゥワン・マーケティング」をさらに進化させた形といえます。
現在、最も一般的なパーミッション・マーケティングとして、消費者が予め自分の趣味や嗜好を登録し、それに関連した企業からのメッセージを受け取ることを許可した上で配信される「オプトインメール」と呼ばれるダイレクトメールなどが挙げられます。

以上、CRM、FSP、ワントゥワン・マーケティング、パーミッション・マーケティングの概略について述べましたが、2005年4月に全面施行された「個人情報保護法」により、今までの顧客情報の概念が大きく変化しました。
集めた個人情報は、企業の物ではなく、顧客から預かっているという扱いになりました。さらに個人情報について、情報漏洩や不正入手・提供の防止、正確性の確保を、会社を挙げて徹底的に実施する必要性が生じました。
顧客から得た情報を基に,よりよいサービスを提供して顧客満足度を向上させるというCRM、ワントゥワン・マーケティングの考え方自体は間違っていないと考えられます。ただし,顧客に対してそれをきちんと説明し,了解を得る必要が生じてきました。これがパーミッション・マーケティングが再び注目された理由でもあります。CRMと個人情報保護の要は「パーミッション」であるともいえます。

最近、すでに個人情報を取得している相手に対して「個人情報の取扱いについてのお知らせ」「DM送付継続のご確認」といった案内メールを送り、「パーミッション」を確認する企業が非常に多くなってきたのもこれが理由です。さらに「不要な個人情報は持たない」というポリシーが必要になってきている時代ともいえます。
個人情報を外部に流失させてしまうと、顧客との信頼関係を壊し、企業は致命的なダメージを受けることになります。企業内部では、個人情報を一元化し、集中管理できる顧客データベースとして、セキュリティを徹底強化させるのは当然のことですが、顧客データベースに対し、顧客からの要求や問い合わせに対し、個人情報の開示・訂正・削除をスムーズに行えるよう、個人情報の状態や利用状況、利用方法に関する顧客の承諾状況、個人情報の入手方法等の情報を補完しておく必要もでてきました。
このように、顧客の囲い込み手段としてのCRM等を巡る環境は激変しましたが、個人情報保護法を的確に遵守する「企業の姿勢」を明確に提示し、顧客からの信頼・安心を得ることや、自社にとって本当に必要な個人情報保護の領域を明確にするなどでCRM等を進化させている企業の事例も増えつつあります。

特定非営利活動法人ITC群馬 正会員
(株)高崎共同計算センター  樺沢 力

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